コードを1行も知らなくても実践できるように作られたガイドです。 原本: https://github.com/tobyilee/team-bigfive


0. 一言まとめ

複数のAIが「1つのチーム」のように役割を分担して協働することで、同じAIを使ってもより良い成果を生み出す設定の集まりです。

平凡な人材を複数集めても、チームワークが良ければ結果が良くなる——このチームサイエンス(Team Science)の知見をそのままAIエージェントに移したものです。より賢いAIを使うことではなく、AI同士がより上手く協力するようにすることが核心です。


1. まず知っておくべき3つの概念

非開発者が最も混乱しやすい部分から押さえていきます。

(1) これは「プログラム」ではなく「設定バンドル」です

ダブルクリックすれば起動するアプリではありません。Claude Codeというツールの上に載せて使う、ルール・役割ファイルの集まりです。例えるなら、料理人(AI)に渡す「レシピ+厨房の業務分担表」だと考えてください。

(2) 「Claude Code」がなければ動作しません

Claude CodeはAnthropicが作った、ターミナル(黒いコマンド画面)からClaudeに仕事を指示するツールです。Team Big Five HarnessはこのClaude Codeの動作方式を「チームモード」に変える追加設定です。

(3) 「Harness(ハーネス)」という言葉の意味

ハーネスは元々「馬に付ける馬具(くつわ・鞍のセット)」のことです。ここではAIが好き勝手に動くのではなく、決められた協働手順に従わせる枠組みという意味で使われています。


2. なぜ使うのか——何が良くなるのか

AI1体に大きな仕事を一度に任せると、こうした問題が発生します。

  • 前に決めたことを後で忘れてしまう。
  • 互いに噛み合うべき2つの成果物(例:アプリの画面と裏側の処理)が食い違う。
  • 一人で作業しているため、自分のミスを自分で気づけない。

Team Big Five Harnessはこれを人間のチームが働く方式で解決します。

人間のチームでは このハーネスでは
チームリーダーが目標を決め仕事を分ける team-lead(チームリーダーAI)
チームメンバーが各自の担当作業をする contributor(作業者AI、複数)
一人が同僚の作業を相互チェック performance-monitor(検証AI)
ホワイトボードに共同目標を書いておく SMM.md(共有メモファイル)
指示を受けたら「OK、~~ということですね?」と復唱 メッセージ確認・再表明の手順

核心効果: 成果物同士が噛み合う必要がある複雑な仕事ほど効果が大きい。


3. いつ使い、いつ使わないか

最も重要な判断基準です。使えば必ず良いというわけではありません。

使うと良い場合(相互に噛み合う仕事)

  • 「このAPIを設計して画面連携まで一度にやってほしい」
  • 「このテーマについて複数の資料を集めて1つに総合・検証してほしい」
  • 「小説の世界観設定と筋書きを前後で矛盾しないように一緒に組み立ててほしい」

使わない方が良い場合(単純または独立した仕事)

  • 「この単語は英語で何?」のような単純な質問
  • 一度で終わる短い作業
  • 互いに影響のない独立した複数の作業(これは個別に指示する方が速い)

例え: キンパ1本を巻くのに5人が取り掛かると逆に遅くなります。コース料理のように複数の段階が噛み合う時にチームは輝きます。


4. インストール(Getting Started)

非開発者にとって最も詰まりやすい部分なので、1段階ずつ丁寧に説明します。 順序: ①Claude Codeの準備→②ハーネスファイルの取得→③作業フォルダへ配置→④動作確認

段階① Claude Codeの準備

Team Big Five HarnessはClaude Codeの上で動きます。まだ持っていない場合はClaude Codeを先にインストールする必要があります。

  • Claude Codeはターミナルで使うツールで、Anthropicアカウント(Claudeのサブスクリプション)が必要です。
  • インストール方法はAnthropicの公式ドキュメントに従うのが最も正確です(「Claude Code インストール」で検索)。
  • インストールが終わると、作業するフォルダでclaudeと入力するとClaude Codeが起動します。

ターミナルが初めての方へ: Macでは「ターミナル」、Windowsでは「PowerShell」または「コマンドプロンプト」がその黒い画面です。

段階② ハーネスファイルの取得

GitHubページ(https://github.com/tobyilee/team-bigfive)からファイルを取得します。2つの方法のうち、やりやすい方を選んでください。

方法A——ボタンで取得(最も簡単、推奨)

  1. 上記のGitHubアドレスにアクセスします。
  2. 緑色のCodeボタンを押します。
  3. Download ZIPを押します。
  4. 受け取った圧縮ファイルを解凍します。

方法B——コマンドで取得 ターミナルに以下をそのまま貼り付けます。

git clone https://github.com/tobyilee/team-bigfive.git

段階③ 作業フォルダへ配置

これが核心です。ハーネスの「脳」に相当するのが.claudeフォルダとCLAUDE.mdファイルです。

  1. ダウンロードしたファイルの中から.claudeフォルダとCLAUDE.mdファイルを探します。
    • (.で始まるフォルダは隠しファイルとして表示されない場合があります。ファイルエクスプローラーで「隠しファイルを表示」をオンにしてください。)
  2. この2つを、実際に作業するプロジェクトフォルダにそのままコピーします。

コピー後の作業フォルダの様子:

my-project-folder/
├── .claude/          ← ハーネスの役割・手順定義(コピー済み)
├── CLAUDE.md         ← ハーネスの案内ファイル(コピー済み)
└── (自分の作業ファイル…)

段階④ 動作確認

  1. そのフォルダでターミナルを開き、claudeと入力してClaude Codeを起動します。
  2. 下記5章「使用例」のトリガーフレーズを入力してみます。
  3. AIが一人で答えるのではなく「チームを構成する/役割を分ける」というような動きをすれば正常に動作しています。

要点の再確認: インストール=.claudeフォルダとCLAUDE.mdを作業フォルダに入れること。それだけです。


5. 使い方——「トリガーフレーズ」がすべて

インストールが終われば、複雑なコマンドは不要です。 いつも通り自分の言葉でお願いしつつ、下記の「魔法の言葉」を1つだけ入れるとチームモードが起動します。

トリガーワード(このうち1つだけ含まれれば良い)

  • 「チームで」
  • 「エージェントチーム」
  • 「チームビッグファイブ」
  • 「高性能チーム」
  • 「複数のエージェントで」
  • 「協働で処理」

文章を作る公式

[やりたいこと]+[トリガーワード]+やってほしい

これで終わりです。

注: Claudeは自然言語を解釈するため、作業している言語でそのまま言い換えて構いません。上記は概念を示す日本語の例です。


6. 実際の使用例4選

非開発者もそのまま打ち込める例です。

例1——ウェブサイト制作(開発作業)

会社紹介ページとお問い合わせフォームを作って、両方がうまく連携するようにチームでやってほしい

一方のAIが画面を、もう一方のAIがフォームの動作を担当し、検証AIが「両者がうまく噛み合っているか」を確認します。

例2——資料調査・報告書(非開発作業)

2025年の電気自動車市場のトレンドを複数の資料で調査して、1つに総合してエージェントチームでまとめてほしい

複数の作業者AIが分担して調査→検証AIが資料間の矛盾を発見→リーダーAIが1つの報告書に統合。

例3——執筆・企画(創作作業)

ファンタジー小説の世界観設定と1~3話の筋書きを、前後の矛盾がないようにチームビッグファイブで組み立ててほしい

世界観担当と筋書き担当が「共有メモ(SMM)」を一緒に見ながら矛盾を防ぎます。

例4——分析+検証(実務作業)

このExcelの売上データを分析して、分析結果が正しいか相互検証まで高性能チームで処理してほしい

分析担当と検証担当が分かれることで、一人で作業する際に見逃すミスを発見できます。


7. 動作中に何が起きているか(安心用)

画面に難しい言葉が流れても慌てないよう、あらかじめ流れを説明します。

  1. 準備——リーダーAIが目標と「完了基準」を共有メモ(SMM.md)に書き込みます。
  2. チーム編成——複数の作業者AI+検証AI1体を作ります。
  3. 協働実行——作業者たちが共有メモを見ながら作業し、互いに結果を渡す際に「これはこう理解しましたが合っていますか?」と確認します。
  4. 検証——検証AIが成果物同士がうまく噛み合っているかを相互チェックします。
  5. 統合——リーダーAIがすべての結果を1つにまとめて最終版を作成します。

結果は通常_workspace/final/というフォルダに整理されます。


8. よく詰まる部分(FAQ)

Q. 普通のClaudeアプリ(Web/モバイル)でも使えますか?いいえ。このハーネスはClaude Code(ターミナルツール)専用です。Web・モバイルのClaudeアプリでは動作しません。

Q. .claudeフォルダが見えません。.で始まるフォルダはデフォルトで隠されています。ファイルエクスプローラーの設定で「隠しアイテムを表示」をオンにしてください。(Macファインダー: Cmd + Shift + .)Q. トリガーワードを入れたのに普通に答えてしまいます。3つを確認してください。①.claudeCLAUDE.md現在の作業フォルダの中にあるか、②そのフォルダでClaude Codeを起動したか、③トリガーワードのスペルが正確か。

Q. 毎回チームで指示した方が良いのでは?そうではありません。単純な仕事にチームを使うとむしろ遅く非効率になります。「相互に噛み合う複雑な仕事」にのみ使ってください。(3章参照)Q. 結果が気に入らない場合は? そのまま日本語で修正を依頼すれば大丈夫です。ハーネスは各作業後にフィードバックを反映して改善するよう設計されています。


9. 一目でわかるチートシート

[インストール]
1) Claude Codeをインストール
2) GitHubからZIPをダウンロード (Code → Download ZIP)
3) .claudeフォルダ+CLAUDE.mdを作業フォルダにコピー
4) そのフォルダで'claude'を実行

[使用]
「(やりたいこと) + (トリガーワード) + やってほしい」

[トリガーワード]
チームで / エージェントチーム / チームビッグファイブ / 高性能チーム / 複数のエージェントで / 協働で処理

[使う場面] 成果物同士が噛み合う複雑な仕事
[使わない場面] 単純な質問、短い作業、独立した仕事

理論的背景(もっと知りたい方へ)

このハーネスはチームサイエンスの古典的論文Salas, Sims & Burke (2005), "Is there a 'Big Five' in Teamwork?"に基づいています。良いチーム成果は5つの行動(チームリーダーシップ、相互業績モニタリング、バックアップ行動、適応性、チーム志向)と、それを支える3つの土台(共有メンタルモデル、クローズドループ・コミュニケーション、相互信頼)から生まれる、というのが要点です。詳しい解説は原本リポジトリのdocs/TEAM-SCIENCE.mdにあります。